日系企業では定期的に職場の異動や職務の変更を行うことがあります。これは「人事異動」という制度で「人事ローテーション」「ジョブローテーション」と呼んだりもします。
目的は、人材育成計画に基づいた個人の育成・スキルアップ、経営戦略に基づいた部署の強化や欠員補充、組織活性というところにあります。では具体的にはどういうことなのでしょう。
人材育成計画に基づいたジョブローテーションとは
企業には様々な業務があり、業務ごとに部署が作られ、そこに属する従業員が日々活動することで企業活動を行っています。会社情報を調べても、実際に各部署がどういう活動を行っているかを理解することはなかなか難しいものです。
例えば新入社員の研修として、企業の業務理解や適性を判断する目的で行うジョブローテーションがあります。この場合は、複数の部署を数ヶ月といった比較的短い期間で異動します。実際に業務に携わり、その人がどんなことが出来て、どのようなことに長けているかを見極めて、人事担当者が適材適所に人材を配置できるようにするための判断材料とするものです。一方で従業員にとっても、どういう企業なのか、どんな活動をしているのかといったことを具体的に知ることができ、異動を通して企業内でより多くの人に出会い、人脈づくりの機会にもなるといったメリットがあります。
経営戦略に基づいたジョブローテーションとは
幹部候補といった将来その企業を担う立場を期待されている従業員に対しては、短期間ではなく数年といった単位で時間をかけて複数の部署や支社に異動させることがあります。
この場合の異動の目的は、実務の習得に加え、実情を把握することにあります。その土地の地域性やビジネス環境、どんな人材が必要なのか、また企業においてその支社がどのような立ち位置なのかなど、実際にそこで業務に携わることで身をもって理解できるようになります。異動をとおして「企業を運営していく立場」としての視点や考え方を身につけ、現状や未来を見通す能力を培っていくことが目的です。また、異動によって広がる人脈で仕事の流れがスムーズになり、新しいビジネのきっかけづくりができることもあるでしょう。
あなたはジョブローテーションをどう考えますか
日系企業以外の外資系企業では、誰かに与えられるよりも、自分自身が積極的にチャレンジしてキャリアアップにつなげることが基本的考えなので、ジョブローテーションの実例は少ないのではないでしょうか。初めてジョブローテションを経験する時は、自分の希望とは違う部署への異動に戸惑いを感じることがあるかもしれません。
日系企業では何十年も同じ企業で働き続ける独特の文化がありますので、初めて業務に携わる人には丁寧に一つひとつ教えて育成する考えがあります。自分が得意なことや、やりたいことを自分自身で見つけるのは意外と難しいことかもしれません。自分が知らなかった得意分野や楽しいと感じる業務と出会う可能性があるジョブローテーションをぜひ良い機会と捉えてみてはいかがでしょうか。